倫理観育成ガイド
そもそも倫理って何?
あなたは「倫理」という言葉を聞いたことがありますか?
一般的に、道徳と混同されることが多いですが、実は異なる意味合いを持っています。
倫理とは、自分自身で正しいと感じる行動を取ること。
他人が正しいとされる行動を取りたいと思う気持ちと、自分が正しいと信じる行動を取りたいと思う気持ちは両立できるのか。
道徳は個人の内面的な価値観や行動指針を指し、倫理は社会的な枠組みや理論的な考察に基づく合理的な分析と議論を指します。
道徳は個人にとって直接的な指針となり、倫理は社会や文化における共有された規範や原則を探求するための学問的なアプローチです。
個人の道徳が完成すれば、必然的に倫理も改善されると考えられるため、ここでは特別分けて考えるつもりはありません。
「よりよく生きるための学問」を学んで行きましょう!
倫理学について考えよう
近年、多くの社会問題が浮上し、私たちは常に正しい選択をしなければならなくなっています。
そんなとき、どのような価値観や根拠に基づいて行動するべきなのでしょうか。
そこで重要になるのが、倫理学という学問です。
倫理学とは、何を基準に生きるべきかを考え、人間らしい生き方を追求する学問であり、さまざまな分野で幅広く活躍することができます。
しかし私たちの社会では倫理について関心が薄れている傾向にあります。
以前は経済学や政治哲学・倫理学の協同が盛んに行われ、厚生経済学の新たな展開や、社会政策と経済学理論の連関が図られていましたが、1990年代頃からそれらの関係は次第に薄れていくようになりました。
子供たちも倫理的な教育が必要であるとされていますが、大人が行き過ぎた結果主義や評価のみに拘泥してしまうと、その子供たちの社会的精神に対する反動は大きくなると警鐘を鳴らす学者もいます。
まずは倫理学の基本的な考え方について見ていきましょう。
海外の倫理観を知ろう
日本人として育った私たちには、日本独自の倫理観が根付いています。
しかし、グローバル化が進む現代社会においては、異なる文化や価値観を持つ人々との関わりが避けられません。
そのため、海外での経験や留学を通じて、色々な倫理観を知ることが大切とされています。今回は、海外の倫理観を知るメリットについてご紹介します。
- 文化的な理解の向上
- 広い視野の獲得
- 国際的なビジネスや対話の円滑化
- 倫理的な問題への対応力の向上
これらは海外の倫理観を知ることのメリットの一部です。
海外の倫理観を理解することは、異文化間の相互理解や共存を促進し、グローバルな視点を持つことにつながると言えます。
道徳の基本は四書五経
日本の道徳教育には、四書五経という言葉があることをご存知でしょうか?
中国由来の四書五経は、儒教において最も重要な書物であり、その思想は現代でも多くの人たちに影響を与え続けています。
道徳によって民を治めようとする考え方が基本になっているこの思想は、現代でも貴重な教えとして存在しています。
渋沢栄一で有名な「論語と算盤」の「論語」も四書五経に含まれています。
儒教は、教育を重んじ、個人の修養や自己完善を追求することを重要視します。
また、儒教は政治においても影響力を持ち、統治者としての道徳的なリーダーシップを提唱しています。
日本の偉人たちの原動力「陽明学」
陽明学は、儒教から分かれて成長した中国明代に生まれた思想学派です。
その主要な理論は、人の心と宇宙の理は一体不二であり、人間が生きるうえで心を見つめることが最も大切だというものです。
その思想は、後の日本にも大きな影響を与え、明治以降には広く知られるようになりました。
陽明学の教えの特徴として
- 個人の内省と自己の探求
- 心性の重視と直感的な知識
- 社会的な責任と公共の利益
- 教育と人間形成
- 忠義の理念と武士道の形成
- 民主主義と人権の概念の導入
- 家族の価値観と道徳的な教育
この特徴は日本人の感覚として、十分に受け継がれているのではないかと思います。
陽明学は実際、吉田松陰・西郷隆盛・福沢諭吉など、多くの偉人に多大な影響を与えました。
この陽明学の系譜は「日本陽明学の祖」とされる中江藤樹に受け継がれています。
まずは中江藤樹とその弟子である熊沢蕃山について知りましょう!
時代の歩き方を教えてくれる易経
四書五経の一つ易経は、中国古代の占い・卜筮の書であり、哲学書としても研究されている重要な書物のひとつです。
古くからの卜術の知恵を集大成し、変化の法則を説くとともに、六十四卦を基に陰陽や五行の思想を展開しています。
易経による占いは、共同体の存亡に関わる重要かつ真剣な課題を解決するために利用され、政治の舞台でも重要な役割を果たしました。
易経から学べる事を要約すると
- 変化の法則
- 相互の関係性
- 倫理と道徳的な行動の重要性
- 予測や洞察を得る手段としての利用
が考えられますが、まだまだ研究が進んでいる学問の一つであり、一読の価値ありです!
儒教と対を為す道教
儒教と言えば、紀元前の時代から現代に至るまで中国において大きな影響力を持っている思想ですが、一方で道教もまたその歴史は古く、中国思想の代表的なものとして知られています。
では、儒教と対を為す道教とはどのようなものなのでしょうか?
道教は、老子や荘子などの思想家によって発展した思想です。
自然の流れやバランスを尊重し、人間の自然さや自由さを追求します。
道教は「道」と呼ばれる普遍的な原理や道徳的な規範を強調し、人間が道と調和して生きることを重視します。
また、道教は内的な修養や瞑想、自然との調和を通じて心の平安や幸福を追求する点で、禅的な思想を含んでいます。
まずは仏教の基本から
仏教は、数千年前にインドで始まり、その後世界中に広まった宗教です。
鎌倉時代に日本に伝わった仏教は、それ以来日本文化や歴史に大きな影響を与えています。
多くの人々が苦しみから解放されるための仏教の基本的な教えを知ることで、思考の幅は大いに広がることでしょう。
仏教流 心の理解【唯識】
唯識の考え方は、仏教哲学の一つで、「唯識」とは、全ての存在が個人の心の働きであるという思想です。
この哲学には、個人的な認識や体験を通じて、普遍的で深い理解が可能であるという特徴があります。
このため、唯識思想は、世界の真実を見つけるための鍵として、多くの人々に支持されています。
AIが発達し進化し続ける現代で、唯識は再び注目されている学問と言えます。
日本人の倫理観
最近、日本人の倫理観について多くの人々が心配しています。
武士道や伝統的な倫理観は、現代の日本社会においてどれだけ重要なのでしょうか。
実は、日本という国は伝統的倫理を抜きに表現することはできません。
しかしながら、現代の日本人は、倫理観が廃れていると言われています。では、日本人の倫理観に何が起こっているのでしょうか。
特に、ニュースで取り上げられる事件や問題に関して、人々の行動が常識に欠ける物となっていることが多く見受けられます。
この状況は、個人だけでなく、組織や企業でも起こっているようです。
人々は、自己中心的な行動をとり、他者に対する配慮や、社会のルールに従うという基本的な倫理観が欠けているようです。
この状況について、どうすれば改善していけるのか、不当なる儲け主義を重視したビジネス、ただ時間を奪うだけのエンタメ、SNSに広がる比較社会。
この感覚で仕事をすると、例えば人を助ける仕事である「探偵」の仕事も、間接的に依頼主を不幸にしていると言えるでしょう。
そのような事態を起こさないためにも、調査員だけでなく、一般の人々にも倫理観を学んでもらうべく倫理観を育成するためのコンテンツを作成しています。
今一度日本人としての「心意気」を取り戻す必要があるのではないでしょうか?
勝海舟が恐れた男
勝海舟は、幕末から明治時代にかけて活躍した偉大な人物です。
剣術に始まり、蘭学まで幅広く学び、その才能を活かし幕府に貢献しました。
彼が提出した「海防意見書」は、身分を問わず有用な人材の登用や軍艦の建造を促し、日本の海防護を推進するきっかけとなりました。
勝の太平洋横断や神戸海軍操練所の建設など、彼が関わった出来事は数多く、明治維新を支える存在として、日本の近代化に貢献しました。
そんな彼が天下の恐ろしい人物の一人として横井小楠の名をあげているのです。
横井小楠は、幕末から維新期にかけて活躍した知識人であり、思想家です。
彼の思想は、儒教的理想主義に基づく政治革新と、東西文化の統合を目指していました。
藩校時習館で学び、江戸に遊学した彼は、有為の士として全国的な人脈を築き上げ、越前藩の政策アドバイザーや熊本藩の顧問としても活躍しました。
国の未来を本当に考える人と言うのは、このような人物を指す言葉なのでしょう。
自己啓発本なんていらない
橋本佐内」という名前は、多くの人には聞き慣れないかもしれません。
しかし、19世紀に活躍したこの人物は、現代にも続く開明思想の先駆者であり、幕末の動乱期に大きな影響を与えた人物の一人です。
25歳で死罪となり、若くして命を落とした橋本佐内が、どのような思想を抱いていたのか。
それを時代を超えて知ることができる私たちは恵まれています。
仏行は仕事である
江戸時代に活躍した武士・鈴木正三。
彼は、戦場で勝利を収めた功績によって旗本に昇進し、家督を継いだ弟と共に鈴木家の名を刻む一方で、17歳の時に仏教に親しむようになりました。
そして、番助勤務中の体験が彼を遷化へと導いたのです。
禁止されていた旗本の出家を受け、鈴木正三は布教活動に身を投じます。
「心学は仏法の華である」と残した鈴木正三の意志は石田梅岩へと受け継がれていくのです。
商売の基本を取り戻す
商売をする上で成功するために、知っておかなければならない「商売の基本」を、皆さんはご存知でしょうか。
それは、相手にとって最大の利益を追求する姿勢が基本のひとつであると言われています。
しかし現代の「商売の基本」は「いかに儲けるか」「いかに株主に利益を分配するか」が主流となっています。
その考え方になったせいで日本は経済成長できなくなったと考えることもできます。
実際に成長していた時代の経営者の考え方は違います。
経営の神様と呼ばれた松下幸之助は言いました「無理に売るな。客の好むものも売るな。客のためになるものを売れ。」と。
日本のビジネス界を代表する人物、松下幸之助氏は、多くの人に愛され、その人間的魅力で多くの人を魅了してきました。
彼は、商売において儲けることよりも、お客様に喜んでいただくことの重要性を説き、社員や取引先の意見を大切にしていました。
そんな松下幸之助の哲学を育んだ男は石田梅岩です。
石田梅岩という名前を聞いたことがある人は少ないでしょう。
彼は、江戸時代に活躍した思想家であり、幅広い思想に触れ、独自の見解を示しました。
彼の教えは、庶民にも受け入れられ、大きな影響を与えたと言われています。
特に商売については感銘を受けるものが多くあります。
石田梅岩から「商人道」を学び、商売の基本を取り戻しましょう!
「歎異抄」自身の心を救う
あなたは、歴史に残る書物である「歎異抄」をご存知ですか?
この書物には、浄土真宗の祖である親鸞聖人が生前に向かう弟子たちに贈ったオリジナルの教えが織り込まれており、その深い内容と美しい文章力から多くの人々に愛され続けているのです。
仏教が隆盛を極めた鎌倉時代。
その時代に誕生した人物、親鸞とは、多くの人々に教えを伝えた宗教家であり、真宗の開祖としても知られています。
そんな親鸞聖人の教えをまとめた後期の書である「歎異抄」は、このストレス時代をいきる私たちに救いを与えてくれることでしょう。
空海に教わる心の修業
日本の仏教を築いた偉大な僧侶、弘法大師・空海(くうかい)は、平安時代初期に生まれ、多大な功績を残した人物です。
彼が日本に伝えた密教は、今でも多くの信者たちに愛され、全国に多くの密教寺院が存在しています。
また、彼が残した著作は、現代でも高い評価を得ており、学問的にも貴重な資料とされています。
そんな空海の思想に、私達日本人は大いに影響されています。
物事の考え方、心の働きを理解するうえで、空海の思想は非常に有意義です。
禅のバイブル【臨済録】
臨済録は、中国禅宗の開祖・臨済義玄による言行録で、禅の教えを紹介する重要な書物として知られています。
この「語録の王」とも呼ばれる臨済録は、臨済義玄の弟子たちによって編集され、後に広く流布することとなりました。
この一巻には、臨済義玄の講話や問答、弟子たちとのかけあいなどが収録されており、中国の禅の代表的な書物として、現代でも多くの人々から愛読され続けています。
禅への理解を深める
鈴木大拙という名前を聞いたことはありますか?
彼は、日本が世界に誇る思想家の一人であり、禅をはじめとした東洋・日本の文化を海外に紹介した功績を持つ人物です。
2020年11月11日には彼の生誕150年を迎えました。
しかし、彼が禅学者として認知される一方で、彼自身は禅僧ではなかったこと、また、彼が昇華させた思想が禅の真髄ではないことはあまり知られていません。
そんな鈴木大拙の禅への解釈を学ぶ事で、真の意味で禅を理解する事ができるかもしれません。
道徳を科学する
廣池千九郎とは、道徳科学の提唱者として知られる、日本の学者・教育者・歴史家です。
大分県中津市に生まれ、幼少期から学問に励む一方、小学校教員として初等教育に携わるなど、幅広い経験を積んできました。
モラロジーを提唱し、道徳科学専攻塾(後の麗澤大学)の設立など社会教育を行ったことでも知られています。
彼は「道徳科学(モラロジー)は精神の為だけでなく、経済の病の予防薬とするために作った」と言っています。
資本主義の病にかかっている現代社会には、良い薬になるのではないでしょうか?