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「批判的思考力の基礎を身につけよう – 現代社会で必要なスキル」

批判的思考は調査員にとって、必要不可欠な能力の一つです。

思考停止になってしまった人の多くは、思考停止になっていることに気づきません。

情報社会で生き抜く私たちにとって、情報は有益であり、損失をもたらすこともあります。

近年ではフェイクニュースや陰謀論などが出回ることで、より情報の選択が困難になったように感じます。

確かに自分の知らない分野の情報が、メディアで流れると鵜呑みにしてしまうのは仕方がないかもしれませんが、諦めてはいけません。

批判的思考を習得し、あなたが誤った判断を減らすことで、円滑に人生をコントロールすることが出来るようになります。

1.批判的思考とは

批判的思考の概念は研究者によって異なります。

今回はEnnis, R. Hの定義(「命題(statements)を正しく評価すること」)に沿って進めていきます。

Ennisは哲学・教育のスペシャリストで、批判的思考の研究者であり、イリノイ大学の教授及びイリノイ州の批判的思考プロジェクトの指導者でもありました。

彼女は批判的思考を次のように表現しています。

①意見の意味をつかむ
②推論の道筋に曖昧さがあるかどうか判断する
③ある意見が互いに矛盾しているかどうか判断する
④ある結論が必ずそうなるかどうか判断する
⑤意見が十分に具体的かどうか判断する
⑥意見が実際に定義の基準を活用しているかどうか判断する
⑦ある観察の意見が確かかどうか判断する
⑧ある帰納の結論は正当かどうか判断する
⑨その問題を見分けられたかどうか判断する
⑩ある事柄が仮説かどうか判断する
⑪定義が十分かどうか判断する
⑫意見が受け入れられるものかどうか判断する

情報にまみれた社会において批判的思考は、騙されないための思考法とも呼ぶことが出来ます。

消費者に「いかに購入させるか」という詐欺まがいの業者に騙されないためにも批判的思考の基礎について学ぶべきです。

・批判的=クリティカル(critical)

「批判的」と言うとマイナスのイメージを持ちます。

批判的思考とはクリティカルシンキングを日本語に訳す時、仕方なく付けている名称とされていますが、日本ではそのまま批判的思考と呼ぶべきではないかと考えています。

それほどに現代の情報は歪まされ、悪用されています。

様々な定義がありますが、ここでは批判的思考を

【物事を批判的に見て、正しい方向に思考を持っていく方法】

とします。

本来はビジネスパーソンを中心に注目されていましたが、私たちの批判的思考の使い方は情報の混乱を防ぐことにあります。

ビジネスマンはいかに利益を上げるかを常に考えていますが、委員会は「消費者にいかに購入させるか」ではなく「消費者がいかに騙されないか」と、いかにも批判的思考の響きに沿った使い方を勧めています。

その事を踏まえた上で批判的思考を身に着けてください。

2.ロジカルシンキングとの違い

批判的思考とロジカルシンキングが間違われやすいです。

ここで抑えて欲しいのは、全くの別モノではなく、批判的思考は複雑な問題解決に適している点です。(より深い思考法とも言えます。)

さらに批判的思考は網羅的に情報を処理する事ができるため、偏った思い込みなどで、誤った情報を鵜呑みするリスクも回避できます。

3.批判的思考の考え方

批判的思考の思考サイクルを簡略化したのが以下の図になります。

この思考サイクルを回して行く事で、最適な答えを探していきます。

次からは各項目について詳しく見ていきましょう。

2-1.明確化(Clerity)

まずは批判的思考の始まりでもある問題・課題への着目です。

自分が解決したい課題を定めるための議論や、自分が立てた仮説を確認する段階で、しっかりと言語化し、問題・課題を明確にします。

目標設定のようなイメージを持つとわかりやすいとおもいます。

自分の思考を迷わせないためにも、この段階でしっかりと見える化しておきましょう。

2-2.基本情報(Basis)

次は基本となる情報の精査を行います。

つまり自分の知識や集めた情報が本当に信頼できるものかを判断する段階です。

例えば研究結果や調査報告書などを判断する場合は、誰が発表した研究結果なのか、調査報告書であれば、調査方法(アンケート調査など)や調査母体、評価基準などエビデンスとして使えるかどうかを見極めます。

この情報の信頼度(確度)によって導き出される答えの制度は大きく変わってくることになるため、厳しい目をもって判断することが重要です。

2-3.推論(Inference)

推論の段階では演繹、帰納、価値判断の能力が必要です。

難しく聞こえるかもしれませんが、どのよう行動をすれば問題を解決することが出来るか、自分の起こした行動でどのような成果をあげる事ができるかを考えます。

この判断をする前に今までのプロセスの中で何か見落としはないかの確認も忘れずに行いましょう。

この段階では自分の考えを自分で腹落ち(整理)させることが大切です。

3.批判的思考の注意点

批判的思考で注意するべき点をいくつか知っておきましょう。

3-1.自分の思考にバイアスがかかっていないか

一人で思考を巡らせると、どうしても偏りがでてしまいます。

それは自分の固定観念によるものかもしれないし、先入観からくるものかもしれません。

大事なことは自分の意見は基本的に偏っていることを認識することです。

自分の「心の状態」と「バイアスがないか」を認識することで、他の人からの意見に耳を傾けることもできることでしょう。

3-2.他の手段はないと決めつけない

これは割とスムーズに答えにたどり着いた時に陥りやすいパターンで、流れに乗って出た答えは「良い答え」に移ってしまいがちです。

一度綺麗に出た答えでも、違う方法はないか、思考を巡らせてください。

例えば、答えを反転させる。無駄をそぎ落としてみる。最悪のストーリーを想像するなど、更に良い答えがでるかもしれません。

批判的思考の進め方

まだまだ深い理解が必要ですが、概念的な話はここまでにします。

批判的思考を身に着けるには実際にトレーニングしていく事が重要です。

簡易的な進め方について見ていきます。

STEP1.問題・課題の設定

まずは、自分が何について考えるのかを明確にします。

例えば商品・サービスの購入に迷っているとします。

その場合には「この商品・サービスは本当に必要だろうか。買うべきか、買わないべきか」が、あなたの解決すべき課題になります。

STEP2.思考ツールを使って分析する

課題が明確になったら思考ツールを使って考えを深めていきます。

色々なツールがあるため、実際に分析すると思考ツールが不適切であることが多いです。

いきなり最適な思考ツールを選ぶことは難しいので、最初の内は一つずつ試していく事が大切です。

STEP3.仮説・検証

思考ツールを使いながら仮説を立て、その仮説の検証を行います。

課題が「この商品・サービスは本当に必要だろうか。買うべきか、買わないべきか」の場合には、「この商品は必要ないから買わない」が立案となります。

ここで「この商品は必要ないから買わない」という仮説が証明できない場合には再度、思考ツールを使って分析し仮説を見つけていきます。

STEP4.意思決定

ここでは仮説の立案で出した仮説を再度確認します。

「この商品は必要ないから買わない」という意思決定が本当に正しいのか確かめ、正しければ行動に移していきます。

この進め方は簡易的なものですが、批判的思考の触りを身に着けるには十分でしょう。

この思考プロセスを回すことで詐欺まがいの情報に踊らされることは確実に減らすことが出来るはずです。

これはStephenE.Toulminが提唱する「トゥールミン・モデル」です。

基本的な考え方を解説した後、軽い例題を見ていきます。

トゥールミン・モデルの考え方

トゥールミン・モデルは「根拠(事実)・論拠・ 裏付け・反駁・限定・主張」 の三つの構成要素から答えを導き出す考え方です。

先ずは全体像を確認するために以下の図をご覧ください。

それでは構成要素を一つ一つ見ていきたいと思います。

     

      1. 根拠(事実) この事実が何を根拠にして導き出されてきたのか、 選定条件は何か

      1. 論拠 「A だから B」 「 前提条件〇〇だから〇〇になる」

      1. 裏付け 論拠の裏付け 事実・一般論・科学的証拠など

      1. 反駁 異なる考え方を想定する

      1. 限定 正当な限定か注意する

      1. 主張 1から5を積み上げてきた結果導き出される結論

    このトゥールミン・モデルを使用する際には常に「コンテクスト」を頭に入れておく必要があります。

    コンテクストとは、一般的に「背景・文脈」といった意味で使われますが、ここでの意味は「思考する際のコンテクスト」と理解してください。

    これは議論や説明などには常に「前提・推定・背後信念・関連事実・行動規範」などの解釈や評価に影響を与える可能性があり、国々によって独自の前提や価値観などがある」 といった旨をクリティカルシンキングの研究者として有名なアレック・フィッシャーは言っています。

    トゥールミン・モデルにおいては根拠・裏付け・反駁の3点でコンテクストを頭に入れつつ思考する必要があります。 

    クリティカルシンキングができない人の特徴5選

    1.行動に計画性がない
    2.情報を鵜呑みにして騙される(陰謀論と真実の区別ができない)
    3.データを見たままに判断するため、考えにバイアスがかかる
    4.発想が常に過去の延長でしかない
    5.情報を逃してチャンスを失う

    クリティカルシンキングは21世紀で最も重要なスキルの一つに数えられています。

    しかしクリティカルシンキングを行わない人は「人から受け入れた情報をそのまま自分に取り込んでしまう」「自分で考える時間すら持たない」「周りに合わせる」など 人生の選択を誤る要素がふんだんに盛り込まれています。

    このようにならないためにも日常から考えることを習慣付けていく必要があるでしょう。

    さいごに

    ざっくりと説明しましたが批判的思考のプロセスはまだまだ奥が深いです。

    この思考力をしっかりと自分のモノにして、あなたが正しい選択、正しい消費を行えるようになってもらえれば幸いです。


    引用・参考文献

    『メディアリテラシー 吟味思考(クリティカルシンキング)を育む』197ページ 著 楠見孝

    Various Concepts of Critical Thinking–What do they think it is?– 著 Yasushi MICHITA

    家庭科における批判的思考力の検討― Ennis, R. H. の批判的思考論に着目して ― 著 土屋善

    図解で学ぶ クリティカル・シンキング トゥールミン・モデルを活かして 著 椎名紀久子 森川セーラ    後藤希望 南塚慎吾

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